2010 ピレリカレンダー

第37版となる2010 ピレリカレンダーは、ロンドンでワールドプレミアを迎えました。40年以上に亘り世界中のファンを魅了してきた‘The Cal'が今年のプレミア会場に選んだのは、テムズ川ほとりに建つオールド・ビリングスゲート(Old Billingsgate)でした。この建物は1875年から1982年まで市のフィッシュマーケットとして利用されていました。
2008年はパトリック・デマルシェリエが中国で撮影し、2009年はピーター・ビアードがボツワナで撮影、そして、2010年は気鋭のアメリカ人写真家テリー・リチャードソンがブラジルを舞台に撮影を行いました。
テリー・リチャードソンは遊び心あふれるピュアなエロスへの回帰を30枚の写真で表現しました。彼がレンズを通して追求したのは、フェニミティの明るい部分を浮き彫りにするようなシンプルなファンタジーと挑発でした。
彼はピレリカレンダーの原点に敬意を表し、60年代から70年代にかけてロバート・フリーマン(1964年)、ブライアン・ダフィー(1965年)、ハリー・ペッチノッティ(1968 と1969年)などが制作したナチュラルでオーセンティックな雰囲気を持つ作風を踏襲しました。そして偉大な先人達に倣いリッタッチングなどの人工的なテクニックを使用せずにあくまでも自然なタッチで仕上げています。
その結果、2010年のピレリカレンダーは背景から一切の飾りを排したシンプルで本質に根ざした作品となりました。テリー・リチャードソンは次のようにコメントしています。「優れたフォトグラファーは一瞬を捉えるものだからアシスタントや余計な装置などを使わずに撮影した。テクニックを使わないのが僕のテクニックだよ。レンズは自分の目だ。そして、精神力や真実の一瞬を捉える能力、アングル、色使い、ライト、風景が僕のフォトグラフィックアートの本質的な方向性だよ」
テーマ:
おんどり、サーベル、水しぶき、古タイヤはリチャードソンが綴る物語にリズムとハーモニーを与える句読点となっています。ピレリカレンダーの初期の作品に影響を与えたポップアートはまたリチャードソンの今回の作品にも影響を与えています。そして、慣例に縛られない彼のスタイルとエロスが融合しタブーを有形化しています。
この作品はフランチェスコ・ネグリ・アーノルディ(レッチェのサレント大学とローマのTor Vergata大学の元芸術史教授)がポップと考えるカレンダーです。彼は今回の作品を評し次のように述べています。「過去への回帰という点において全く新しい。これまで築き上げられてきた伝統的な流れにおいても実にオリジナルに徹しているし、自然な女性美を表現する技量に長けている」